今やっているビジネスが安定しているなと感じるときは、かぎってお客さんとの関係が良好です。
いや、お客さんだけではないですね。そのビジネスに関係するあらゆる方と言ってもいいかもしれません。
仕入れ先・流通業者など、そのビジネスに関係する方々との関係が良好なときです。
もちろん、こちらの価値観や考え方をしっかり相手に伝えていること。相手側の価値観や考え方をこちらも理解しているということが前提なのですが。
得てして、ビジネスが上手くいっているなぁと感じるときは、お客さんとの関係が良好です。
仮に、それがビジネスの本質なのだとしたら。
つまるところ、ビジネスを健全な状態に保つ秘訣は、
「如何にお客さんはじめ、そのビジネスに関係する方との関係性を良好にするか」。
そこに頭を使うことが、一番の成功要因になり得るのかもしれません。
商品よりも大事なもの
これは有名な話なので知っている方も多いかもしれないですが。僕ら商売人の先輩である江戸時代の商人たち。お店が火事になった際に、何よりも一番に抱えて逃げたものがあるそうです。
それは「顧客台帳」です。
なぜなら、顧客台帳さえあればたとえそれまで営んできたお店が火事によって灰になったとしても、やろうと思えばまた明日からでも商売を営むことが出来るからです。
売上を運んでくれるのは1にも2にもお客さんだからです。
仮に商品・サービスを用意できたとしても、それを購入してくれるお客さんがいなければビジネスとしては成立しません。
そのことを考えると、普段からお客さんといかに良好な関係を築けているかが、商売・ビジネスを継続してくための核である。とも言えます。
お客さんとの関係性を保つために商品・サービスがあるのであって。先に商品・サービスがあるわけではないということ。
お客さんとの関係性(信頼関係)があるからこそ継続してお金を落としてくれる。という見方です。
仮に、今現在自分のお店があり。そのお店が突然火事になってしまうことを想像してみてください。。
1か月後、別の土地に移って商売をし始めたとします。顧客台帳がなければ、どうやって今まで好意にしてくれていたお客さんに知らせられるでしょうか。
「たぶん気づいてくれるだろう」と運に頼るか。それとも、また一からお客さんを作っていくか。
気長に待てるだけの資金的余裕があるのであれば構いませんが、多くの場合、また一からお客さんを築いていくことなど。そう簡単にはいかないはずです。
それに、それまで真摯にお付き合いしてくださっていた方(お客さん)に対しても、いきなり連絡が取れなくなるわけだから少々切ない感じもします。
一方で、顧客台帳が残っていたらどうでしょう。
その顧客台帳を頼りに連絡をとり、その中の7割でもいい、いや半分でもいい。それまでのお客さんが来てくれたとしたら、経営(生活)的にはすごく助かります。
連絡をくれたことに対して
「ちゃっかりしてるなー、さすが商売人」
と、割り切って考えられる方もいれば。逆に
「なんだ勧誘かよ」
と、若干嫌な気分になる方ももちろんいると思いますが。
それでも、その中には必ず「連絡してくれてありがとう」と本気で喜んでくださる方もいらっしゃいます。
そのことを考えると。経済的にはもちろんのこと、人とのつながり的にも。顧客台帳の存在がいかに大切か、ご理解いただけると思います。
顧客台帳の重要性
例えば、今自分のビジネスのお客さんが100人いたとして。
その中の100人が100人とも、良好な関係を築けるわけではないということは理解できると思います。理想を言えば、100人ともそのような関係を築きたいですが、現実にはそうはいきません。
ですが、そのうちの何割かの方は自分とお付き合いしてくれることを楽しんでくれる方だと感じます。
「10人の人がいるとしたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを批判する。あなたを嫌ってくるし、こちらもその人のことを好きになれない。そして、10人のうち2人は、互いにすべてを受け入れあえる親友になれる。残りの7人はどちらでもない人だ」
↑先人の言葉にある通り、数字感覚的に2割の方はお互いに良い付き合いが出来る方だと感じます。
極端に言えば、その2割の方を大切にするために顧客台帳を作る必要があり。ビジネスを行う上で一番重要な事なのではないかと感じます。
飲食店も例外ではありません。
「飲食店で顧客台帳なんか必要ない」
そう考えられている経営者の方は多くみられますが。
それは裏を返せば、深い付き合いなんかしたくないと言っていることと同じだと受けとれます。
そうであれば、個人的には飲食店で食っていくことを考えることなどやめたほうがいいのかなと思ってしまいます。
飲食店であっても、れっきとしたビジネスであり。ビジネスはお客さんとの関係性を深めていくもので。良好な関係性を維持していくものだからです。
一発限りの売上を上げるのであれば、テクニックやノウハウとかそういったことで売上を上げられるかもしれませんが。継続的に営んでいくためには継続的な売上が必要です。
そう考えれば、それらの売上をもたらしてくれるお客さんと良好な関係を維持していくことが如何に重要なことかを理解できると思います。
突き詰めると、人が好きでなければビジネスは継続できないのかもしれません。
異性的な感情に限らず、好意を感じる人に対してその方のことをもっと深く知りたいと考えるのは別におかしなことではないし、相手の名前・連絡先を知ることはそのための第一歩に過ぎないことだと思います。
「顧客情報(リスト)を取るってなんかやらしくないですか?」
そう言われる経営者の方は多いですが。
「あなたこそ一体どんなやらしいことを考えているんですか?」
と、逆に自問自答する必要があると思います。まあでも言い方にもよりますね。
「連絡先を教えてもらう」
ただそれだけのことだと。
普段から付き合いがある親友の連絡先を知らない人がいないように、ビジネス上でも普段から付き合いがある方の連絡先を知らないことなんて不自然だということ。
そのことに気づくことができれば、お客さんとの関係性づくりが段違いで楽しくなると思います。
本来の民間取引は対等な関係
一つの考察ですが、現代にビジネスをするうえで。特に個人規模でビジネスをするうえで、
「供給者=自分」
「消費者=お客さん」
などと無機質に分けてしまう考え方は、確実にビジネスを失敗に導いてしまう要因になり得ます。(理解度を高めるために敢えて「お客さん」という言葉を使用していますが)
たぶんそう考えてしまうのは、長く雇用者として働くことで
「いち供給者、相対する消費者」
という構図を無意識のうちに刷り込まれているからではないかと思います。
要するに、いち個人の意識の中に「生産と消費が一対になっていない」ということです。
ビジネスの取引としてお金を頂くのに、本来どちらが上でどちらが下でもなく、「価値を提供した対価としてお金をいただく」という対等な関係が本来の姿だと思います。
支配者(統治者)と被支配者(非統治者)の関係でもない限り、古来から対等であるのが本来の民間取引です。
そう考えれば、懇意にしてくれているお客さんの連絡先を聞くことなんて当たり前のことであり。というより、連絡先を交換している中だからこそ懇意に付き合いをしてくれるものだと思います。
語弊がある言い方かもしれませんが、「他者から奪ってやろう(奪ってしまう)」とか、自分側の利益だけを得ようとしているきらいが少しでもあるからこそ、フランクに連絡先を交換出来ないのかもしれません。
聞き方にもよりますが、仮に「あなたに連絡先を教えるのは嫌です!」と言われたら。
結局、その後も互いに良好な関係を築き続けることなんてできるはずがないのだから。それが早めに分かった方がいいのでは、そのように思います。
