これから何かしらの事業を開業しようとしている者にとって、計画がなければどうなるでしょうか。
およそ事あるごとに行き当たりばったりになってしまい、上手くいくかどうかの成否は「神のみぞ知る」状態になりかねません。
そのような状態になるのを防ぐためにも、事業開業時には必ず事業計画が必要になるわけです。
なぜ事業計画が必要か?
そもそも、何かをやろうとするのに計画を立てていなければ。
何をもって上手くいったのか、なにをもって成功なのか、それを始めた本人でさえ、その判断がつかないはずです。
- いくらの売上が上がったから上手くいったのか?
- いくらの利益があったから成功したのか?
そういった判断基準がなければ、実際に事業を始めたものの一体どこに向かえばいいのか、目標もない状態でさまよい続けることになります。
「○○は儲かるのか?」と考える場合にも、必ず事業計画に照らし合わせることは必須であり。
経営数字を伴った計画もなしにその判断をくだすことは不可能です。
一方で、簡単でもいいので開業時にある程度明確な事業計画を立てていれば、
- 計画通りに進んでいるのであれば上手くいっている。
- 計画通りに進んでいないのであれば上手くいっていない。
とりあえずであったとしても、上手くいっているのかどうかの判断が下せるわけです。
撤退するタイミングを間違えない
何かしら事業を手掛けたからといって100%成功するなんてことはまずありません。
もっと言えば、100%成功しないと踏まえたうえで取り組んだ方が、リスク管理に敏感になることができます。
もちろん、やるからには必ず成功させるという意気込みは大切ですが。それと同等に、失敗することもはじめから勘定に入れておくことで、そうじゃない場合に比べて余裕を持て取り組むことが出来るようになるわけです。
ただ、ここでも重要なのは、何をもって失敗なのかを明確にしていなければ、その状態を失敗だと認識することができません。
- 売上が開業後3か月連続で○○円を下回れば失敗。
- 資金が○○円を下回れば失敗。
はじめにそのような基準がなければ、いつまでもダラダラと続けてしまい、被る必要のなかった被害まで被ってしまいます。
一方で、撤退基準が明確であれば、被害は最小限に留めることが可能であり。撤退のタイミングさえ間違えなければ、悲惨な倒産状態になることを防ぐことができます。
必要な資金を算出できる
事業を始めるにあたって、一体いくらほどの資金が必要なのか。
特に、実店舗などを出店する事業の場合。開業する際の店舗契約や設備費、あるいは人件費などの固定費は開業初月から発生するわけで。
「最初の設備費として○○円くらい。当面の運営資金として○○円くらい。だいたい合計で○○円ほどあればいいかなぁ・・・」
などと適当に決めてしまうと、いざ始めたときに資金が不足する可能性が高くなります。
「足りなくなったからどこかで借りよう」
そんな状態で貸してくれる金融機関もないですが。仮に上手く融資が下りたとしても、返せる当てのないものは返せるはずもありません。
一方、事業計画が明確であれば、最初の設備費・運営費など、おおよそ必要な資金が明確になるし、返せる当てのない借金をする必要もなくなります。
意識を共有できる
何をもって上手くいったか、何をもって上手くいかなかったのか。計画がなければ、それらの判断はできません。
特に、自分一人でなく開業時から自分以外の人(雇用者・パートナー等)がいる場合。
上手くいっているか、上手くいっていないかを判断する基準がなければ、意識を共有することは不可能です。
「僕はこっちを目指しています。」
「えっと、私はあっちを目指しています。」
「これ、失敗だよね」
「いいえ、全然失敗じゃないよ(・・・)」
そのような状況にならないためにも、事業を開業する目的、その目的を実現させるための具体的な数字計画、その計画を実現させるために必要な資金の算定。
それら事業者として目指す道しるべとなるものが必要であり、常に計画と実績を照らし合わせながら進めていく必要があるわけです。
事業計画の作り方
それでは、簡単ではありますが、実際に事業計画を作る場合に盛り込んでおきたい3つの柱についてお伝えしていきます。
事業計画を作るうえで、柱になるのは以下の3つです。
- 将来像
- 売上計画
- 予算算定
将来どのような状態になっているのか?
事業を開業して、将来どのような状態になっているのか。
たしかに、実際に事業を始めていない状態で将来像を決めるのは難しいです。人間の考えや価値観も日々変わり続けるのが一般的だからです。
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ただ、事業、とくに個人経営として事業を継続していくうえでは、否が応でも経営者(=開業者)本人の考えが反映されていなければ、具体的な数字に落とした計画が立てられないわけです。
あるいは、開業後の経営意欲も保ちづらいわけです。
なので、大雑把でも構わないので、現在考えていること・あるいは現時点での価値観から将来像を設定する必要があります。
「事業経営を通して、3年後には経営者としてのレベルを上げたい」
その気持ちが本当なら、そのような将来像でも構わないと思います。
あるいは、事業単体で考えてしまうと難しいときは、「どうしてもやりたい事業」以外の「自分のやりたいこと」とを結びつけてみることを推奨します。
- 「事業経営」×「家族」
- 「事業経営」×「サッカー」
- 「事業経営」×「有名になりたい欲」
- 事業を経営して家族を養っていきたい
- 事業で稼いだお金で地域のサッカー小僧を育てたい
- 事業経営者として有名になりたい
このような将来像が基となって、具体的な数字計画へとつながっていくわけです。
数字をもとに売上計画を立てる
将来像が決まれば、次は数字を基に売上計画を立てていきます。
「毎月○○万円売れたらいいよねえ」
そのようなフワッとした目標になってしまっては、未来像を現実にすることなどできるはずがありません。
- 家族を養うためにはどれだけの生活費が必要か?
- サッカー小僧を育成するため(クラブ、スクール運営等)には毎月いくら必要か?
- 有名になるためにはいくら必要か?
自分のやりたいことに必要な資金を見定めながら、将来像を達成するために必要な資金を獲得できるよう、数字に落として売上計画を立てる必要があります。そのためには、最低限の経営数字の理解が必要です。
- 自らが望む利益
- 必要な粗利
- 売上
まず「①自らが望む利益額」を決め、続いてその利益を確保するために「②必要な粗利」。
そしてその粗利を確保するための「③売上」。
将来から逆算して、具体的な数字をもとに売上計画を策定していきます。
単年度の売上計画が立てられたら、あとは単月の売上計画→1日当たりの売上計画まで落とし。自身のキャパシティを勘案しながら実現可能な計画を立てていきます。
そこまで出来たら、アバウトでも構わないので開業して3年後の未来像に沿った計画まで立てることができれば、事業者として進む方向が見えてきます。
運営するために必要な予算の算定
具体的な計画を立てたあとは、その計画を遂行していくうえで必要な予算を算定する必要があります。
資金は事業経営の血液的存在です。
事業を開業する場合には、開業にかかわる費用、販売促進関連の費用、事業管理にかかわる費用、事務的処理にかかわる費用、等々。
店舗を持つ方であれば、それこそ設備関連の資金も必要になるわけで、大小かぎらず必要な資金を算定していきます。
計画を遂行するための資金計画
予算を算定したあとは、その計画を遂行していくうえで必要な資金を確保する必要があります。
大きな企業であれば、大きな額を動かすために上場(IPO)したり増資したりと。スケールが大きいがために金融市場を利用したりしますが。
ある程度の規模の事業では、そのような大げさなことはできないですし、そもそもする必要さえありません。
下記のように、簡単な資金調達で十分事足りるからです。
- 自己資金内で賄う
- 銀行融資
- 身内親族からの借り入れ
ただし、いずれを選択するにせよ、立てた計画を遂行していくうえで必要な資金を確保しなければ、事業を前に向いて進めることができません。
自らの経済状況にあった資金調達方法をもってして必要な資金を確保します。
常に見直しと改定を行う
以上、簡単にではありますが、事業計画の考え方についてお伝えしましたが。
事業計画は、一度立てたからといって終わりではありません。
市場の動向(食材費の高騰・その他費用の高騰・借入金利の高低など)は常に変わり続けるからです。
特に、開業して間もない状態には想定していた以上の費用が掛かってしまう場合もあるわけで。どうしても必要な資金であれば、予算に組み込まなければならないこともあったり。
あるいは、事業開始時は大雑把だった未来像が明確に定まってきた場合などにも、事業計画を見直すタイミングは少なくない頻度でやってくるわけです。
そのような状態に対応すべく、立てた計画と実際の数字とを常に照らし合わせながら、事業者としての未来像を実現していくわけです。


