参入する市場の中でポジショニングを意識しなければならない理由

今でこそ「ポジショニング」という言葉が広く叫ばれていますが。

この飽和した日本の飲食市場でお店を開業し、その後さらに継続経営していこうと考えるのなら。

少なくとも、自分のお店が市場の中でどのあたりのポジションにいるのかぐらいの意識はもつ必要があります。

なぜなら、この世の中は常に相対性で構成されているので、市場の中で優位なポジションを獲得しなければ、事業者として継続的に経営していくことが難しくなるからです。

これまで生きてきた人生において、優位なポジションを獲得した覚えがない方にとっては、このポジショニングという感覚はピンとこないかもしれませんが。

このポジショニングを考えなければ、すぐさま市場から退場を宣告される運命が待ち受けています。

競争は避けられない

今現在、飲食市場には多くの参加者がいます。おにぎり屋であっても、たこ焼き屋であっても、イタリアンであっても、何であっても。広義のカテゴリーは飲食業であり、本質的には一人の人間のお腹を満たしあう戦いに参加することになります。

100人のお腹を満たすために1店の提供者しか存在しないのであれば、ポジショニングなどと小難しいことなど考える必要はないですが。現実には100人のお腹を満たすために10店20店と提供者が存在しています。

この日本国は、ヨーロッパの某国とは異なり飲食市場に参入するための資格はありません。資金さえ都合が付けば誰でも参入することが可能です。

規制が掛かっていない状態であれば、それこそ「我こそは」と挑戦者が現れるのは自然なことです。そのことを考えれば、どんなに小さなお店であっても、他店との競争は避けられないことだと気づきます。

自分が選ばれなければ誰か別の提供者が選ばれる。自分のおにぎりがどんなに自信があるものだとしても、選ばれなければ生存していくことは出来ない。

さらにいえば、おにぎりを提供しているお店だけが競争相手ではありません。

近所にあるカレー屋だって、お好み焼き屋だって、ファミレスだって、お腹を満たす提供者であることを考えれば、コンビニだって競争相手です。

まずそのような現実があるということを自覚することが重要です。あるいは、今までになかった新しいおにぎりを考案したとしても。

原則的にはお腹の満たしあい合戦であることに変わりありません。もっとも、今までなかった新しいおにぎりだからといってそれが世の中に受け入れられるか(需要があるか)は別問題であり。

おにぎり屋を開業するということは、少なくともそのような競争の場に参加するということを肝に銘じておく必要があります。

存在していないのと同じ

では、自分のポジションを認識できたらそれでおしまいかというと、それだけではまだ不十分です。

なぜなら、自分のお客さんになるであろう人に知ってもらわなければ、そもそも事業として成り立たないからです。

自分以外の市場の選択者が認識してくれなければ、存在していないのと同じだからです。

そこに物理的にお店が存在していることを認識してもらうのはもちろんのこと。何のお店か・どんなことを提供してくれるお店かまで知ってもらう必要があります。

「おにぎり屋」

ではなく、

「自然派の食材を使ったおにぎり屋」

「地元食材しか使わないおにぎり屋」

もちろん、これでもまだまだ曖昧です。機能的な面の訴求だけでは選ばれづらいからです。特に、個人店ならなおさらそれが顕著です。

加えて、モノが溢れてしまったこの世の中で、自身のことをただ単に「おにぎり屋」とか「おにぎり専門」と物理的定義をするのはナンセンスであり。それではもろに価格市場での戦いになるからです。

ではどうすればいいか。

それは、体験的価値をもとに自身のポジショニングを設定することです。ただそうするだけでも、競合ひしめく飲食市場での低レベルな戦いを回避することが出来るからです。

利益を確保できる可能性が高まる

結局ポジショニング戦略とは、自分自身を分析→知ることであり。

その業界の中での空いているポジション、かつ需要のあるポジションに参入していく。それも事業として成り立ちそうな分野に参入するということなので。

業界全体を分析するとまでは出来なくとも、せめて自分自身を分析することくらいはやっておく必要があります。

というよりも、今の日本の飲食市場でこのポジショニングを考えなければ、本当に一瞬のうちに廃業に追いやられてしまうし。仮に1年生き残れたとしても、それは文字通り生き残れたというだけで、生活していくのもやっとの状態である可能性が高いです。

おにぎり屋を開業する計画段階はもちろん、開業後についても常に自分自身のポジションを確認し検証していくことが出来れば、他のおにぎり屋とは一線を画す事業経験ができるはずです。

一方で、自分のポジションなど何も意識せずに市場に参入してしまった場合。誰からも相手にされず市場から退場しなければならない運命が待ち受けているわけです。

ポジショニングを理解するためのヒント

最後に、ポジショニングを理解するためのポイントについてですが。

自分の行動を振り返ってもらうとより分かりやすいと思います。自分がよく利用しているお店。

なぜそこに通っているのか?

なぜそこを利用しているのか?

その問いに対する答えが、ポジショニングを理解するためのヒントです。

当のお店が意識しているかどうかは関係なく。そのお店が存続し続けているということは、そこにそれなりのポジションが出来上がっている可能性が高いということになるからです。

それを意識してやることがポジショニング戦略であり。冒頭でもお伝えしたように、この飽和した市場で自らのポジションを認識してもらわなければ、早晩市場からの退場を余儀なくされてしまうわけです。