小さなおにぎり屋が多くのおにぎりメニューを揃えることなど不可能

今は、インターネットを通して全国津々浦々の店舗情報を拝見することができる時代。たまに情報が見当たらないお店にも出会ったりしますが、そういったお店は本当に稀です。

「どんなメニューを提供しているかな?」

興味本位で色々なおにぎり屋の情報を拝見しながらいつも思うことは、みなさん本当にメニューの種類が多いです。

20種類くらいなんかは当たり前で、具材の組み合わせなどをされているお店に至っては50種類を超えてくるおにぎり屋さんも存在しています。

僕もその感覚は本当によくわかります。おにぎり屋当時は、おにぎりと同時に弁当を販売していた時期もあったくらいですから。

ただ、事業というものを理解していくことでいつも気付かされるのは、小さなお店でそれをやると本当にしんどいよ。事業としてやっていけないよ、ということ。もちろん、趣味や生きがいでやるのならこの限りではありません

メニューを増やすということは、食の志向が異なる多くのお客さんの欲求に応えようとすることと同一です。

Aさんというお客さん、Bさんというお客さん、Cさんというお客さんがいたとして。

AさんもBさんもCさんも、それぞれに来店されて注文するメニューというのは、基本的にほぼ毎回同じです。あるいは同じようなメニューです。このような方がリピーターになってくれるわけですが

なぜなら、食の志向というものは、昨日と今日あるいは来週になると全く異なる。などということはあり得ないからです。

  1. 鮭おにぎりを頼むお客さんは、毎回鮭おにぎり。
  2. 牛しぐれおにぎりを頼むお客さんは、毎回牛しぐれおにぎり。
  3. 天むすを頼むお客さんは、毎回天むす。
  4. 唐揚げ(サイドメニュー)を頼むお客さんは、「えっ、今日は唐揚げだけ!?」

たまに別のおにぎりを注文する場合もあるかもしれませんが。↑の4人のお客さんの場合、

「え、今日は梅おにぎりがないの(怒)もう来ないよ」

などということは100%と言っていいほどあり得ないわけです。

現在、ショーケースなどで作り置きのおにぎりを販売されている方なら共感していただけると思いますが。人気があるおにぎり、人気のないおにぎりにかかわらず、ある程度売れ残り度の高低はあるにせよ、どのおにぎりでも売れ残ってしまう確率は必ずあります。

「今日は鮭おにぎりが良く売れたから明日はもっと多めに作ろう」

結果、売れ残る。

「今日は、塩おにぎりが予想以上に売れたから明日は少し多めに作ろう」

結果、売れ残る。

なぜこういったことが起こるのかというと、メニューが多いこと(多くの欲求に応えようとすること)で、毎日”食”の志向が異なるお客さんが来店されるからです。

「おにぎりが好き」という食の志向は共通しているかもしれませんが。おにぎりというのは、あくまで「調理法」という認識が必要であり。

中華系の具材もあれば洋風な具材・和風な具材と、味覚の幅はかなり広いのがおにぎりの特徴なわけです。

そのことを認識せず。個人の小さなおにぎり屋、特に2・3人ほどのスタッフで営業されている1店舗経営のおにぎり屋が、多くのおにぎりメニューを揃えること(多くの異なる食の志向を持つお客さんに応えること)など不可能なわけです。不可能とは、事業的に無理ゲーという意味

一方で、そのようなお客さんの欲求に応えるのは、大きな資本(人・モノ・金)を持った企業の役割であり。

そのような大企業とお客さんを取り合う必要など全くなく。双方のお店が応えられる欲求にだけ真摯に応えることで、世の中の市場は成り立っていると考えることができれば。

「とにかく多くのメニューを揃えておかなければ」

などと、自らの経営する小さなおにぎり屋で、無理のない品揃えをせずに済むのかもしれません。

もちろん、「メニューを増やしたい。それが生きがいだから」というのであれば全然結構なことだと思いますが。事業としてやっていく分にはそうとうしんどいよ、ということは知っておく必要があるわけです。

おにぎり屋の市場としての歴史はまだまだ浅い。だからこそ、世の市場に受け入れられるビジネスモデルの確立が必要です。そして、そのヒントはラーメン屋にある。近日中にその秘密をお伝えできればと考えています。