現代の日本の人口減少に伴う事業者の生き残り戦略に活かせるヒント

様々な分野の文献に触れること。それは、現代の日本の人口減少に伴う事業者の生き残り戦略に活かせるヒントを学ぶため、あるいは僕自身の今後の生き方のヒントを得るため、あるいはただの興味から。最近は意識して未開の地へ足を踏み入れる選択をしています。

今回、その過程で興味深い見解に出会ったので紹介してみたいと思います。

くつろいで受けられる生物学講義――著者より」ここでの短いメッセージを読むだけでも、今後の企業生き残りにおける戦略を判断するうえで何かしらのインスピレーションを与えてくれるはずです。

ある農家に怠け者の男がいた。男は働くのが面倒でたまらないので、自分の代わりに田畑で働いてくれるロボットを作った。

 ところが、ひと月経つと、ロボットは壊れてしまった。仕方なく、男はまたロボットを作った。ところが、そのロボットも、ひと月経つと壊れてしまった。

 そこで男は、新型のロボットを作った。新型のロボットは、田畑で働くだけでなく、ひと月経つと新しいロボットを作って、それから壊れた。だから、男は、一日中家で寝ていられた。

 そんな折、男は作られるロボットが、少しずつ違うことに気がついた。

 たとえば、性能が1のロボットが作ったロボットの性能は、1.1になることも0.9になることもあった。しかしロボットの性能が、急激に変化することはなかった。

 そのうちに、たまたまロボットを2体作るロボットができてしまった。ところが、男の家には、ロボットを動かす燃料は1体分しかない。

 ロボットは、毎日農作業が終わって家に戻ると、燃料タンクから自分で燃料を入れることになっていた。そのため、農作業が早く終わったロボットが、先に家に戻って燃料を入れてしまう。すると、もう1体のロボットは燃料を入れることができない。そのため、燃料切れになったロボットは、家の隅に転がったままになった。

 そんなことが繰り返されていくうちに、ロボットの農作業はものすごく速くなった。生き残るのは、いつも性能が高いロボットだけだからだ。仮に、毎月性能が1.1倍になったとすれば、4年で、ほぼ100倍になる。ロボットは、急速に変化していき、もはや怠け者の男にはコントロールできないものになってしまった。

 ついにロボットは、自分で燃料を採掘するようになり、とうとう地球を支配するにいたった。もはや人間の姿は、どこにも見当たらなかった。

 以上の話は『若い読者に贈る美しい生物学講義』の中に書いた話(の一部)である。ロボットが2体ずつ作られて、そのうちの1体だけが生き残るなら、そのときの状況に適応している方が生き残ることになる。これは自然選択と呼ばれる現象で、ダーウィンが進化のメカニズムとして見つけたものだ。

更科 功 著:若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命のはなし

この物語は、これから益々進化していくAIロボットの今後の展開としてそのまま見て取ることもできますが。この短かい物語の中に登場する「ある男」を、市場の中に参入する者=起業家あるいは事業者と置き換えることで、経済市場のなかで起こっている事象とも見て取れるわけです。

現在の状況は、この物語に書かれていることそのままであり、「燃料」を「消費者」と置き換えれば、減少していく日本の消費者を先に獲得できた者(企業)が生き残り、獲得できなかった者は市場からいなくなる。

そこからさらに進化発展した者は、自ら外(海外)に出ていき新たな燃料を獲得し、やがて世界を席巻(巨大企業化)していく。

人間の世界も企業の世界も、いや生物界ひいてはすべての自然界は常に同じメカニズムで働いているという仮説が正しければ…僕ら事業者として各々取るべき戦略は、自ずと判断できるのではないかと考えるわけです。