「売上はあるのに、なぜかお金が残らない」おにぎり屋を始めてみたはいいけれど、毎月減っていく通帳残高を見てそう感じる方は少なくありません。
ただ、その原因は商品や場所が悪いのではなく、そもそもの“構造”が間違っていることが大半です。
➀薄利多売を前提で組まれた商品設計
例えば1個あたりの単価を低く設定し、原価率もそれなりに高めのケース。このような「もろに安さで勝負しよう」と考えてしまうと、1日何個も売らない限り利益は出ません。でも、小さなおにぎり屋でこのような無謀なことをやっている方は少なくないのです。
小さなおにぎり屋が考えなければいけないのは、このような「安さ」を売りにした薄利多売、多くの客数を前提としたやり方ではなく。むしろ単価を上げる工夫(量・サイズ・セット販売など)をすることで、「少ない客数でも利益が出る構造」に変える必要があるわけです。
➁人件費が重くのしかかる
販売・仕込み・調理・清掃・接客・・・。少々忙しくなってきたからといって、何も考えずにスタッフを増員すると一気に利益が薄くなります。
実際、僕のお店でも「スタッフを1人入れただけで粗利が全部吹き飛んでしまう。しかも最低賃金なのに」という状態に陥ったことがあります(泣)経営するお店の規模感にもよりますが、個人店は“一人経営(ワンオペ)”を前提に組み立てるくらいでちょうどいい。
手一杯になってきた段階ではじめて、”2オペ”→”3オペ”とオペレーションを組んでいったらいいだけだからです。もちろん、人手を増やさず業務を見直してさらに売上・利益を上げるやり方を考えるのも良し。どちらにせよ、安易に人を増やさないことが重要です。だからこそ、まずは“ワンオペで回るオペレーション”を考えることが大切なのです。
➂売上と利益のズレを把握していない
「売上=利益」だと思っていると、「今日はよく売れたな~」で終わってしまいます(笑)でも実際には、
- 材料費が高騰している
-売値を変えず材料費のみが上がれば、原価率を押し上げます - 売れ残りロスが出ている
-売れ残りが出れば、その分は原価率を押し上げます - 無駄な仕入れが多い
-食材の廃棄ロスが出れば、これも原価率を押し上げます。
といったことが積み重なり、気づけば赤字になっているなんてこともざらにあります。僕もかつて、帳簿をきちんとつけていなかったせいで、「売上はそこそこあるのに全然貯金が増えない。いや、むしろ減っている」という経験をしてきました。
おにぎり1個作るためには必ず原価が必要なわけで、原価は右から左へ流れるもの。自分の懐には入ってこないのだから、売上から原価を引いた粗利を基準に組み立てていく必要があります。「売上-人件費」ではなく「粗利-人件費」といった具合です。
④「利益率」で見ていない
おにぎり屋の経営は「(営業)利益額」だけではなく「(営業)利益率」を見ていないと、不安定な状態から抜け出せません。たとえば、
- 売上が月100万円あっても利益が5万円なら利益率5%
- 売上が月50万円でも利益が15万円なら利益率30%
この2つ、後者の方がずっと良い経営と言えます。なぜか?
仮に、コロナ禍などの社会情勢の影響で売上が1割下がったとします。前者は赤字、後者はそれでもまだ黒字を確保した状態です。このように利益率を気にした経営をすることで、不測の事態でも対応できるわけです。
もちろん、ある程度帳簿の数字を工夫することで利益率を左右させることは可能ですが。大事なことは、“売上だけを見るのではなく、利益額ひいては利益率までしっかり管理すること”が、小さなおにぎり屋が潰れずに続いていく最大のポイントなわけです。
⑤キャッシュフローを見ていない
さきほどは「売上があるのに、なんで預金残高が減っていくの?」という疑問にお答えしましたが。「利益があるのに、なんで預金残高が減っていくの?」という疑問を持つ方もいると思います。特に金融機関からの借入を月額返済している方は、当てはまる方が多いはずです。
この疑問を解消するためには「キャッシュフロー」というお金の流れを知る必要があります。簡単にお伝えすると、借入元本返済額は利益の中から支払われるということ。※ここでは、より簡単にお伝えするため減価償却費という項目については触れません
当月の利益が5万円あったとしても、借入元本返済額が7万円なら毎月2万円ずつ預金残高が減っていきます。これを10か月繰り返せば、計20万円が預金残高から減っている状態です。
いくら利益が出ているからといって、お金がなくなれば続けていくことは出来ません。経営にとって大事なのは、お金を減らさないこと、あるいはお金を増やしていくことが何より重要だからです。
まとめ:最低限経営に必要な数字を理解する
以上、お伝えしたように、お店が儲からないその理由は「立地が悪い」「味がイマイチ」「サービスが悪い」のではなく、経営の構造そのものが間違っていることがほとんどです。
- 薄利多売の罠から抜け出す
- 適正なスタッフ数で回せる体制を組む
- 利益率で経営を考える
- キャッシュフローまで見る
多くのおにぎり屋開業者は、売上を上げることだけが経営だと考えていますが。経営にとって大事なのはお金を減らさないこと・増やしていくことです。
売上という数字だけを見るのではなく、最低限経営に必要な数字を見る目を養う。これらを意識することで、やり方次第では「少ない売上でもしっかり利益を残せる」経営が可能になるわけです。



