結論として、おにぎり屋さんが儲かるかどうか?それは、おにぎり屋を営む事業者によります。
「焼肉屋は儲かると思う?」「ラーメン屋は儲かると思う?」焼肉屋だから、ラーメン屋だから、あるいはその他何屋であっても・・・〇〇屋だから儲かっているなんてことはありえないわけで。
「おにぎり屋をして儲けるにはどうしたらいいか?」このような考え方にシフトしない限り、おにぎり屋で儲けることは難しい。そう断言できます。結局のところ、おにぎり屋としてどういった事業を設計するかに大きく左右されるわけです。
もちろん、計画を立てたからといって確実に儲けられるわけではありませんが。そもそも儲けられる事業を設計していない状態では、おにぎり屋として普通に食べていくことさえ難しいと言わざるを得ません。
「儲け」にあたるのもの
ということで、まずはおにぎり屋という事業を営んだ場合の「儲け」に当たる部分を正確にとらえてみます。
ここでは本当にざっくりとですが。個人事業主としておにぎり屋を経営した場合、ざっくりと「儲け」に当たるのは所得です。
| 売上(100%) | 800万円 |
| 原価(約30%) | 250万円 |
| 諸経費 | 250万円 |
| 所得 | 300万円←ここが儲けです |
一般的な会社員とは異なり、給与所得という概念はなく。
お店の売上から原価、諸経費(人件費・店舗家賃・水道光熱費など)などを引いた残りが「事業所得」という形で自分の給与みたいなものになります。
おにぎり屋としての自分の年収です。
「売上」がそのまま「儲け」になるなどと考えるのは事業者として恥ずかしいことなのでご注意を。
ただ、勘違いしてはいけないのは、この所得金額そのままが自分の懐に入るわけではないということ。
好きなように使えるわけではないということ。
この所得金額に税金が掛かり、個人事業主の場合はそこからさらに国保・年金を支払います。
可処分所得でいうと、さらに少なくなるわけです。
青色申告者であれば、この所得から最大65万円ほど控除されるので多少税金の額が異なります。
また、銀行などから借入をしている場合、その返済原資は所得から税金を引いた残りからです。
(厳密には減価償却費分が返済原資に加わります。)
将来に向けて設備投資を考えているのであれば、ここからさらにキャッシュをキープしておかなければいけません。
そうして最後に残ったものが、生活費なる自分が自由に使えるお金です。
上記の数字で儲けているのか儲けていないのかは人によって異なると思いますが、一般的には儲けているとは言えません。
数字に落として判断する
先ほどの年間売り上げをもう少しかみ砕いて、一日あたりの数字まで逆算してみるとより実感がわくと思います。
| 売上(100%) | 800万円 |
| 原価(約30%) | 250万円 |
| 諸経費 | 250万円 |
| 所得 | 300万円 |
①年間売上800万円ということは、ひと月あたりの売上は70万円弱です。
売上800万円(1年)=月売り70万円×12か月
②月間稼働日数を20日として考えた場合、一日あたりの売上は35,000円。
売上70万円(1月)=日売上35,000円×稼働日数20日
③仮に一人単価700円であれば、一日50人の来客が必要です。
売上35,000円(1日)=単価700円×来客50人
言い方を変えれば、一日50人の来客があったとしても単価700円程度であれば、年間の売上・利益は上記の数字程度にしかならないということになります。
儲けられるのかどうかは数字に落としてみれば、このような簡単な考え方でもおおよその判断ができるわけです。(実際には、店舗のキャパシティを勘案しながら数字を組み立てて判断します。)
「流行っている」=「儲けている」にならない
多くの方からしてみれば、たくさんお客さんが来店してくれている=儲かっていると考えてしまいがちです。
たしかに、原価800円の物を1,000円で販売することによってそのコストパフォーマンスによって来客数は増えるかもしれません。
でも、それでは事業としては成り立たないわけです。「売上」=「儲け」ではないからです。
あるいは、原価300円のものを1,000円で多くの数を販売できたとしても。
スタッフの数が過剰(人件費過多)だとしたら、同じく事業としては成り立ちません。
「敢えて店舗は赤字で別のところで儲けを出す」
といった戦略的ケースは別として。「流行っている=儲けている」と考えるのは、事業者目線としては失格ということになります。
事業をやったことがない方ほど表面上でしか判断することができません。そういった方がおにぎり屋を開業する場合、
「場所と味が良ければ・・・」
「出来たてで種類が豊富であれば・・・」
「良い接客で・・・」
などと安易な考えで開業しすぐに店を閉めることになります。
「美味しければ儲かる」
その考えを持っているのは非常に危険で、おにぎり屋だけに限らず別の飲食店を始めたとしても、早晩市場から退場させられる可能性が高いと言えます。
美味しいおにぎりを作りたいのか、それともおにぎり屋として儲けたいのかははっきり区別しておく必要があります。
おにぎり屋として儲けたいのであれば、頭の中に「おにぎり調理人(職人)」と「数字攻略家」を同居させるということを意識する必要があります。
美味しいものを作ること、お店を流行らせることはもちろん重要ですが、その中に必ず数字要素を加味すること。
そのことは常に頭に入れておく必要があります。
受動的に儲かる事業など存在しない
ただ、やはり儲かる確率が高い業界は存在しているし、時流にあった業界があるのもまた事実。
それでも、やはりその事業を行う者に事業者としての能力つまり儲ける能力がなければ。いかに儲かる可能性が高い業界に参入できたとしても儲けることは出来ません。
誰でも儲けられる業界が生まれたとしても、それこそ儲けられる能力の経営者が参入してくれば。それ以上は言わなくても想像がつくはずです。
重要なのは、対象となる商売(業種・業界)が儲けるか儲けられないのかではなく、その商売を行う事業者自身に儲けられる能力があるか否か、これに尽きるわけです。
結局のところ、受動的に「儲かる事業」などは存在せず。
能動的に「儲かる事業」にしようと頭を使っている者だけが、市場の中で儲けられているというのが現実なわけです。
「おにぎり屋さんて儲かるかな?」
そのような安易な考え方では、まず間違いなくおにぎり屋で儲けることなど不可能だと言い切ることができますし。
おにぎり屋以外の事業をしたとしても儲けることは難しいのでは。そう言わざるを得ません。
「あの店美味しいから儲かるはずだ」
「立地が良いから儲かるはずだ」
「接客が良いから儲かるはずだ」
くれぐれも安易な考え方を持たないことが大切。
「美味しい・立地が良い・接客が良い」ことと、「事業として儲ける」との間に直接的な関係はないからです。それらはあくまで「儲かる」ための一つの要素にしかすぎず。
仮に、今まで愚直なまでにおにぎり作りの腕を磨いてきたのなら、そのおにぎり作りにも基礎となるものはあるはずです。
であるならば、おにぎり屋を経営するにも「経営の基礎」があるということを認識することができなければ。おにぎり屋を経営して儲けることはおろか、生業としてやっていくことさえも難しいのでは。
単純にそう考えてほしいのです。



