ただおにぎり屋を開業したいのであれば、良さそうな物件・お好みの内装・厨房機器などを用意すれば、誰でも簡単におにぎり屋を開業することができます。開業することがゴールなのであればもうそれで成功です。
一方で、おにぎり屋を開業したその先の「おにぎり屋で食べていくこと(生計を立てていくこと)」が目的なのであれば、ほかに大事なことを考える必要があるわけす。
なぜおにぎり屋なのか?
ところで、この記事を見てくれている読者の方は、そもそも何が理由でおにぎり屋をやりたいのか考えてみたことはあるでしょうか。
- 何のためにおにぎり屋さんを開業したいのか?
- なぜ色んなお店があるなか、おにぎり屋なのか?
生意気なことかもしれませんが、この問いに対してすぐに答えることが出来ない場合、そもそもおにぎり屋を開業するべきではないかもしれません。
たしかに、おにぎり屋は他の飲食店と比べて設備投資が少なくて済むし、基本的におにぎりは誰でも作れる食べ物だから簡単そうに見えるかもしれません。
それでも、店舗開業にお金が掛かる事には変わりありませんし、何の計画もなく開業してしまえば想定以上の資金が必要になるかもしれないからです。
僕がおにぎり屋を開業しようとしたきっかけは、ただ何となくやってみたいなという理由からでした。後で色々理由を付け加えてはみましたが、根っこにある開業の理由は、やはりただなんとなくだったとしか言えない状態であったと言えます。
別におにぎりに対して強い思い入れがあるわけではなかったし、おにぎり作りに自信があるわけでもありませんでした。
そのような気持ちもなかったし、自身のあるおにぎりメニューなんてもちろん持ち合わせていませんでした。
ですが、そんな状態の人間でもおにぎり屋を開業することは出来ました。実質300万円程でおにぎり屋を開業することは出来ました。
それでも、結局おにぎり屋を開業することだけがゴールになってしまっていた当時の僕にとって、開業後何をすればいいのかが分からなくなってしまったのです。
本来であれば、おにぎり屋を開業することはあくまでスタートであるはずなのに、おにぎり屋を開業することそれ自体が目的・ゴールとなってしまっていたことで、その後おにぎり屋を運営していくうえで何をすればいいのかわからなくなってしまったのです。
そのような状態にならないためには、やはり何のためにおにぎり屋を開業するのか。というそもそものおにぎり屋をやる理由は明確に持っておく必要があると思います。
もちろん、そのとき掲げた目的がずっと続くものではありませんし、なんとなく立てた目的に縛られて身動きが取れない状態になってしまえば本末転倒ですが。
おにぎり屋をはじめる段階で、何かしら指針となるものがあることで、開業後の判断基準が明確になることだけは間違いありません。
飲食参入者の現実
おにぎり屋を開業することは簡単です。もっと言えば、おにぎり屋でなく別の業態の飲食店を開業するのもそれほど難しいことではないです。

基本的に、開業するだけならお金さえ用意すれば誰でも可能だからです。
そのことを裏付けるかのように、「いやー、それではすぐダメになるでしょ」という感じのお店がオープンして何か月も経たずになくなっているのを見かけます。
ここで一つ考えてもらいたいことがあります。
そうやって開業した人たちは一体どれだけの期間、営業を続けられているのか。どれだけの方が継続して健全な営業をされているのか。
国の統計では、2年以内に約50%の飲食店が廃業していると言われています。3年以内に80%、10年以内には90%です。これが現実です。
僕の場合もおにぎり屋を開業して6年後に数百万円の負債を背負って廃業しました。統計通り開業後10年以内に潰れる90%の中に入りました。
営業期間の6年間にしても、廃業してはいないというだけで食っていくこともやっとの状態。いや借金を重ねたわけですから、おにぎり屋で食ってもいけてないことになります。
もちろん、誰もが僕と同じような結末になるなんてことはない。ということは理解しています。ただ、その現実を知ることは飲食事業者になる身として避けては通れない現実です。
おにぎり屋を開業することは本当に簡単です。やる気とお金さえあれば基本的には誰でも開業出来るからです。
どこかの国とは異なり、この日本国では誰でも自由に飲食市場に参入することができます。ライセンスなんていりません。それでも、その参入者の90%は10年後には生存していないのです。
この事実を知ることは、これからおにぎり屋を開業する方にとっては本当に重要なことです。
そのような現実を知ろうとせず、受け止めようとせず。ただただ「開業すること」だけに夢中になってしまっている状態では、必ずと言っていいほど開業後に苦労することになるからです。
開業後にどう運営していくか
では、おにぎり屋を開業して食べていくにあたって何が必要なのか。
それは、開業した後にどうやって運営していくかです。どうやって経営していくかを考えることです。「開業」は「経営」の一要素でしかないからです。
数字を基に、机上でも構わないので「生存していくことが出来るか吟味してみること」。この考え方が重要です。
もっと言えば、開業時に明確な廃業基準を決めることも重要なことです。
なぜなら、開業時に明確な撤退基準を決めることで、開業後廃業しなければならなくなったときにも、計画性のない無駄な延命処置を取り続けることもなくなるからです。無駄な負債を抱えずに済むからです。
心底楽しいのならチャンスかも
「なぜおにぎり屋を開業するのか?」
この問いに対し、明確な答えが出ない場合。やはり少し立ち止まって考えてみることが大切だと思います。なぜなら、その問いに対する答えの有無が、おにぎり屋開業後の経営に直結するからです。
おにぎり屋の経営というその行為自体も、長い人生の中で見れば一つのイベントごとでしかありません。あくまでも人間生活を豊かなものにするためのひとつです。
別におにぎり屋にこだわる理由がないのであれば、おにぎり屋を開業することを諦めて別の道あるいは別の事業を考えた方が、その後の人生は間違いなく楽しいものになると思います。
一方で、明確な目的やどういった働き方をしたいかがハッキリしている場合。あるいは別にある程度の失敗(お金や時間を失うこと)は構わない。そう考えておられるのならば、おにぎり屋開業に向けて準備を進めてみるのもありかもしれません。
特にこれからの時代は、自身のやっていることを楽しんでいる人間が強いと感じます。
おにぎり作りに対して本当に心底楽しいと思えるのなら、そこには必ずビジネスチャンスがあると思いますし。その楽しさが原動力なれば事業として成り立つ可能性も高まります。
そして幸いなことに、今は限りなく低リスクでおにぎり屋を開業するやり方もあります。従来では考えられなかったおにぎり屋の始め方も存在しています。
「おにぎり屋として食べていきたい」
「おにぎりを事業として成立させたい」
本気でそう思えるのなら、今やるべきことことはただひとつ。経営の基本を学ぶことです。事業として食べていくための基本を学ぶことです。
おにぎり作りの腕を磨くことは一旦横に置いておいて、事業経営について最低限必要なことを学ぶことで、おにぎり屋で食べていける可能性が高まるからです。断言できます。
なにはともあれ、色々考えた挙句、これからおにぎり屋を開業すると判断したのであれば、「自分はこれからおにぎり屋を”経営”する」という意識を持つことを忘れないでいただきたいものです。





